会長挨拶

JET2015開催にあたって

Japan Endovascular Treatment Conference (JET)2015の開催にあたり一言ご挨拶申し上げます。JET2015は、2015年2月20日(金)~22日(日)に、大阪のナレッジキャピタル コングレコンベンションセンターにて開催されます。こちらは一昨年開業した北梅田のグランフロント大阪の地階にあり、大阪駅からのアクセスは徒歩数分と大変便利な場所です。

さて、浅大腿動脈に適応を有するナイチノールステントが保険診療下で使用可能になり、この部位に対するEndovascular Therapy (EVT)の臨床的エビデンスが、十分に蓄積された今、治療法の新たな議論が展開されるものと期待されます。特にこの領域の「薬剤溶出性ステントなのか?それとも金属性ステントなのか?」という大きなテーマについては、蓄積されたデータからの議論が今後の日本の戦略を大きく改変することになるでしょう。

血行再建術にはEVTとバイパス治療 (BSX: bypass surgery)が存在しますが、デバイスの進化及び改変に伴い、両者の適応に関する考え方は常に変化するものであり、その都度の議論が重要であります。また、EVTデバイスにおいても、薬剤溶出性ステントや近い将来臨床使用が可能になると期待されるDrug Coated Balloon、またレーザーを含めたデバルキングデバイスなどの使い分けの議論も大切と考えます。

EVTの対象となる末梢動脈疾患は冠動脈疾患や脳血管疾患と同様の動脈硬化性疾患であり、それらと同等あるいはそれ以上の包括的ケアが求められます。また、循環器内科だけでなく、血管外科・形成外科・整形外科・放射線科などの各診療科が密に連携し合うことが重要になります。さらに血管内治療のみにとらわれるのではなく、その長所と短所をしっかりと見据え、患者背景・患肢背景・施設背景などを総合的に判断して、血行再建術(血管内治療と外科的バイパス術)を選択する必要があると考えます。

ライブ中継は、金曜日には関西労災病院と済生会横浜市東部病院から、土曜日には岸和田徳洲会病院と森之宮病院から行います。また、特別公演には、世界(欧米・アジア)からEVTの権威をお呼びして最新情報を発信していただきます。また、今年は一般演題に164題もご応募いただきました。前回の電子ポスターにプラスして、今回のメディカル口演はPresentation Awardとして、セッションごとに優秀賞をその場で決定し、勝者には最終日に再発表していただく予定です。

熱い議論が本会で展開されることを祈念して、挨拶に代えさせていただきます。

西宮市立中央病院 西宮市病院事業管理者 / JET理事
大阪大学大学院医学系研究科 先進心血管治療学寄付講座
南都 伸介

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