JETは世界への扉
大阪警察病院の循環器内科の飯田修です。この度JET2025の大会長を仰せつかりました。前回はコロナ時代真っ只中の2020年 (直前キャンセル)/2021年 (JET talks)/2022年 (コロナ第7波前)であり、不完全燃焼でした。2025年こそは参加者3,000名を目指し粉骨砕身頑張りたいと思います。何卒よろしくお願い申し上げます。
皆様信じられないかもしれませんが、JETは現在日本だけではなく、アジアだけでもなく、世界の中でかなり注目されております。先日行われた世界最高峰のendovascular学会であるLINCにおいては、初日のそれも午前9時からのメインアリーナのセッションを任され、ほぼ日本人がいない満員の会場の温度感がそれを物語っています。そのセッションで発表された日本発信の研究データやライブに“世界の血管治療に携わる皆”がくぎ付けでした。それは一昔前の、ガラパゴス的かつ職人的なインターベンションとして日本のEVTを見るのではなく、本当に一つの“学問”として疑問を持ち、そして学びを実現しようとしていることの表れでした。その現場に立ち会ったJETメンバーは、直にひしひしとその視線を感じました。LINCでのセッションは “JET @LINC”と銘打たれ、とうとう日本のendovascularはここまでたどり着きました。うれしいことに、今年のLINCには日本からも本気の“他流試合”を求めて多くの若手医師が参加され、堂々と発表をし、一部の先生は賞を受賞されておりました。賛否ありましたが、JETの公用語を英語にしてきた結果、“JET global化”を体現できた瞬間でもありました。
2024年のJETは、会長の横井宏佳先生のリーダーシップで大成功を収めました。3日間での参加人数は、2,000人を超え、驚くべきことに海外からの参加者も300名を超えて全体の約15%を占めております。会を切り盛りされた仲間達也先生と藤原昌彦先生が心血を注いで準備されたプログラムが大成功であった証左だと思いますし、心から祝意を送りたいと思います。飯田自身JET 2024に一人の参加者として、そして理事として参加し感じた印象は、“JETはアジアの会である”であります。メインアリーナでのLBCT (late breaking clinical trial)やライブそしてランチョンセミナーに関しては、多くの方の海外の先生方に参加いただきました。お会いするすべての海外からの先生から、“本当にJETは大きく成長したよ“とお言葉を頂きましたが、やはりこの成功には、事務局の下釜さん、石本さん、三井さんの献身的なサポート (むちゃくちゃわがままばかりいうファカルティをハンドリングするのは大変!)、そして会員の皆様・参加の皆様が、会の方向性をしっかり理解してくださって頂いていたからこその成功だと感謝しております。岸和田徳洲会病院の横井良明先生が始められた第1回JPICから約20年以上の月日が経過し、当時アメリカにてVIVA/VEITHで理事として大活躍されていた現在東京慈恵会医科大学血管外科 大木隆生先生 (当時アルバートアインシュタイン医科大学)のもとに、現在理事の中村正人先生や横井宏佳先生が本気で体当たりし語り合った時が、日本のendovascular原点になります。そこから、日本の血管外科医や放射線科医そして循環器内科医で切磋琢磨を繰り返して、現在の日本のendovascularの隆盛に至りました。今では、日本だけではなく世界に誇れる学会に成長したことは、横井良明先生にとってもとても誇らしいことだと思います (2日目のライブ開始時の朝の挨拶で良明先生は変わらずお元気でした)。英語主体のJETメインアリーナはアジアの中での一丁目一番地ですが、一方で日本語で実施したスクラブライブ会場も立ち見が出るほどの満席でした。それは海外志向を高める一方で、日本の若手EVT医をしっかりと育てていく必要性を感じさせられました。つまりJETは日本を含むアジアの若手の先生方のための会として、適宜形を変えつつ更なる発展を遂げたいと思います。
JET2025は、JETのルーツである大阪開催です。来年のJETのメインテーマは、“Far together”です。みんなで遠くに行きましょう。PAD/CLTI trackは、相棒の岸和田徳洲会病院の藤原昌彦先生、東京ベイ・浦安市川医療センターの仲間達也先生、そして小倉記念病院の曽我芳光先生と協力して構築していこうと考えております。JETの代名詞であるライブは、海外・アジアで大活躍の仲間先生に取り仕切っていただき、可能なら海外からもライブを日本に中継したいと願っております。もう一つの代名詞であるLBCT/latest data含めた学術部門は、我らのbrain藤原先生に魅力あるセッション構成をお願いするつもりです。そして、今回新たな試みですが実は最も大切な教育に関しては、常に物事を俯瞰的にそして若手をいつも応援下さる曽我先生に、日本のみならず海外の若手も対象として教育コースをお願いする予定です。Aorticに関しては、僕自身尊敬してやまない大木隆生先生にメインライブ+JES@JETで歯に衣着せぬコメントで若手をご指導いただきたく思います。Venousセッションは、再度横井宏佳先生にお願いをさせて頂き、静脈ステント新時代をお願いしたく思います。JETの大きな柱になったAV accessに関しては、末光浩太郎先生にお願いをして医師だけではなくメディカルスタッフに対しても魅力的なセッションを作っていただきます。そして今回JET2025の最後のサプライズとして、初の“Neuro intervention”のライブを開催いたします。こちらに関しては、長年JETを俯瞰的に支え、かつ我々若手を常に応援してくださった脳外科医の坂井信幸先生にご指導を頂きながら、土曜日1日をNeuro trackとして、初チャレンジいたします。こちらもぜひ旬を突いたtrackにお願いしたいと考えております。
JET2025はおそらく大きな分岐点になるかと思います。まず企業の方には、JETを踏み台にしてほしいです。誤解を恐れずに言えば、JETで大きなビジネスチャンスを掴んでほしいと思います。僕が医者になりたての頃、尊敬する先輩に言われた言葉があります。良い教室は、「よい指導医がいて、症例数が多く、そしてお金がある」でした。日本のendovascularには明るい未来があります。実際、下肢のみならず大動脈、透析シャントや静脈領域に多くの新規デバイスの治験が予定されています。何よりendovascularに軸足を置いて生きていこうと考える若手が増えています。そんな空気感の中のendovascularの中心が、まさしく“JET 2025”です。皆様が見たことがない、また感じたことのない日本オリジナルですが、海外にいるかと錯覚するような夢のような3日間をぜひ大阪でご経験くださいませ。
Japan Endovascular Treatment Conference 2025(JET2025)
会長 飯田 修
(大阪警察病院 循環器内科)