JET 2020実行委員長の関西労災病院の飯田です。今回は非常に残念なお知らせです。待ちに待ったJET2020を5日後に控えておりましたが、2月16日(日)の臨時役員会において最終的にJET2020の延期が正式決定されました。2019年の3月から本日まで、ステアリングコミッティの先生方と度重なる話し合いを行い、過去最高と自負できるプログラム作成ができていただけに無念です。
しかしながら昨今のコロナウイルスによる予期できない現状を鑑みると残念ながらJET2020は延期せざる得ない状況と考えました。参加を予定とされておられた皆様に対し寸前での延期報告となりましたことを深くお詫び申し上げます。
JET2020の出だしはすこぶる順調でした。アジア No1のendovascular courseを一つの共通目標(スローガン)に、PAD/CLIだけではなく、Aortic, Venous, AV accessを加えた4本柱に対し、日本の第一線でご活躍の先生方、そして各領域のオーソリティにバックアックについて頂き、日本のオリジナリティを出しながらも世界に通用する(諸外国の先生が拝聴しても十分勉強になる)プログラムが、ほぼ秋には完成しておりました。事務局長の岸和田徳洲会病院 藤原昌彦先生の頑張りもあり、魅力的なセッションには魅力的なセッションポスターを作成し、年末にはインターナショナル ファカルティ1名ごとに紹介文まで作成しFacebookにアップも致しました。すべてに対して抜かりなく準備が進んでおり、ちょうどそのころのホームページアクセス数も3万件近くになり、年末にはプログラム委員は診療科を超え強固なワンチームとなり、最高潮の機運の中、JET2020での盛り上げを皆で約束し、後は開催を待つだけという状況で年を越しました。
1月末より暗雲が漂い始めました。全く他人事と考えていたコロナ問題ですが、2月に入り毎週のように諸外国のファカルティから日本の状況の確認及び自国の状況に関する連絡が入るようになり、2月2週目からはほぼ毎日海外のどこかの先生からのキャンセルが入るようになり、JET開催2週間前の時点では、初回に作り上げたプログラムはキャンセルの嵐により原形をなしておらず、ほぼ日本人だけで開催する方向になりました。それでも悪化の流れを止めることはできず、日に日に感染者も増え、また感染経路も特定できない患者も出現し、最終的にはメディアにおいても不要不急の集団イベントを避けるようなアナウンスもされるようになりました。開催延期を検討する最後の一撃だったのは「治療法がなく致死率が1-6%もある新しい疫病が流行している」ことを、2月15日に厚労大臣が認めたということでした。その後臨時役員会を急遽開催し、いろいろな意見が出されましたが、最終的には全員が納得した形で2月16日午後にはJET2020の開催延期が決定されました。
ここまで全てを捧げ、心血注ぎ準備をしてきた我々にとって、開催のスタート地点にも立てないことは大変ショックでかつ無念極まりない思いです。裏話ですが、JET2020は史上最高の事前登録頂いておりました。またセッションに関しても過去と比較し、いずれも最高の準備でした(Hall数: 11、Program数: 121、Japanese Faculty数: 209、International Faculty数:67 [Asia 47]、Sponsored Seminar数: 40、Official Presentation数: 694、Live demonstration: 57cases)。ただ、この経過の中でJETというものが一体何なのかを今一度考える機会となりました。JETは他の大きな学会とは一線を画す、血管病に関わる全ての診療科医師・コメディカル・企業の方が1年に1度集まり、患者さんの為に最善な治療を考える良識のある医療人が集まる会です。過去のJETを思い返しても、何らかの治療のガイダンスが深い生の議論の中で生まれ、開催毎にご参加の方に支えられ大きくなってまいりました。
特に最近ではアジアでの立ち位置も大きくなり、毎年海外からの参加者も増え、日本の若手だけではなくその噂がどんどんと広がるような状況でした。そのような背景において、学会運営をする上で何事にも心配なく、思い切り学会(運営・発表・実技)を行うことが今の環境では成しえないこと、 海外からはほぼ全員が参加を見合わせられることになり、魅力的なプログラムは見るも無残に原形をなしておらず アジア最高の会になりえない、ということでした。つまり思い切りJETを開催できないことを考えると、この判断は妥当であったと考えざるを得ません。
今回の判断が過剰な反応と思われる方もいらっしゃるかもしれません。ですが、国内の医療従事者間の感染拡大は施設の破綻にもつながるため、リスクを重く見た全うな判断であったことは明確であり、延期して別の期日も検討しておりますので、引き続きご支援いただけますと幸甚です。JETはこの経験無駄にはしませんと強い意志を持ちさらに役員も含め強固な関係になったことも十分ご理解頂きたく思います。皆様これが新しいJETの始まりのスタートであります。もう次のJETを考えましょう。是非次は皆で思いっきりJETを開催できるように、皆様におかれましてはしっかり充電をよろしくお願いいたします。
なお最後になりましたが、今回のJET開催にあたり多大なるご協力・ご支援をいただいた関係各位、企業各社の皆様に感謝申し上げるとともに厚く御礼を申し上げます。本当にありがとうございました。
また皆さん笑顔で会いましょう!!
2020年2月17日
JET2020 実行委員長 飯田 修(関西労災病院 循環器内科) |